膝の障害

膝内側の痛み

A.鵞足炎(がそくえん)

condition28
膝関節内側の頚骨部に働きの異なる三つの筋肉が合体し付着しているところがあります。合体した筋腱があたかも水鳥の足のように広がっていることより、 鵞足と呼ばれています。この筋肉群にはランニングなどで張力や収縮力が頻繁に加わりその付着部である鵞足部に炎症が生じ痛みを発生します。肢体全体のアライメント異常(O脚)も鵞足炎を引き起こす要因になっていることもあります。
症状はランニングなどでの鵞足部の疼痛ですが、初期には圧通だけの場合もあり、本人がきづいていないこともよくあります。
予防と治療には運動前後のストレッチや運動後のアイシングが大切ですが、アライメント異常に起因する場合には足底板を用いることもあります。テーピング療法、マッサージとストレッチは手技療法の中心です。

B.平泳ぎ膝

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水泳の平泳ぎの選手に多く見られることより名づけられた障害です。
平泳ぎのウィップキックが原因とされ、膝内側側副靭帯に繰り返し張力が加わりその付着部に炎症が起き痛みを生じています。
発症してしまったら練習量の軽減が必要ですが、又関節のストレッチングが大切です。

 

膝外側の痛み

A.腸脛靭帯炎

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ランニングによる障害の代表的な一つです。腸徑靭帯は腸骨盤から脛骨に至る長大な靭帯です。この靭帯は大腿骨外顆で、膝の伸展と屈曲により前後に移動するため機械的刺激を受け炎症が生じます。O脚傾向の人に起こりやすいのがランニングシューズや走行面など練習環境も影響します。
治療としては腸徑靭帯のストレッチングと練習後のアイシングが有効ですが、シューズや走行環境の見直しも必要です。テーピング療法、マッサージとストレッチは手技療法の中心です。

B.膝窩筋腱炎 (しつかきんけんえん)

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膝窩筋腱炎(下り坂のランニングで発生しやすい障害の一つで)膝窩筋は大腿骨外顆の外側面から起始し,脛骨後面の三角形の部位に付着する。前十字靭帯とともに,大腿骨の前方移動を制限している。下り坂のランニングや,過度の回内運動が大腿骨の前方移動を強め,膝窩筋腱へかかる力を増大する傾向にある。

膝窩筋腱の圧痛は下り坂のランニングによって増大する。下肢背面の筋肉が原因で起こる場合が多い。運動などにより大腿二頭筋の腱、膝窩筋などが痛む場合がある。坂道を長時間歩く下山などの際に膝窩筋を痛める事がある。日常生活においては正座をした時に痛みが出たり、階段の昇降時に痛むことなどがある。
診断するには,患者の損傷側の脚の踵部外側を,もう一方の脚の膝の上にのせて 座らせる。圧痛点はちょうど外側側副靭帯の直前方に感じる。

●膝窩部痛(膝の裏側の痛み)対策・治療

① 治療としてはアイシングが有効ですが
② 患者は,内反矯正ウェッジ(シューズのヒールと本体の隙間の内側半分に挿入する硬い三角型のウェッジ)か,回内を制限する矯正装具を備えたシューズを履くべきである。痛みを感じないで走れるようになるまで,ランニングを避けるべきであり,走れるようになってからも最初の2~3週間は下り坂のランニングは避けるべきである
③ まだは下り坂を減らすランニングコースの変更も必要です。

膝窩部の痛みは主に太ももの裏側の筋肉、ふくらはぎの筋肉、膝裏の筋肉のうちのどれかが原因で痛みを発します。

対策としては、太ももの裏側の筋肉、ふくらはぎの筋肉のストレッチ。そして、痛む部分のアイシングです。

ストレッチはお風呂上りの体が温まっている時に行い、アイシングはスポーツの後やズキズキと痛む場合に行います。

太ももの裏は長座をして体を前に倒すと上手に伸ばすことが出来ます。ふくらはぎはアキレス腱を伸ばすようにすると上手に伸ばすことが出来ます。

また、ふくらはぎなら自分でもマッサージを行いやすいと思いますのでお風呂の中で優しくマッサージしてあげてもいいのではないかと思います。

決してグイグイと強く揉まずに、優しくソフトにマッサージをしてあげて下さい。

膝の裏が痛む時は坂道の特に下りの時に痛む傾向があります。ですから痛みの強い時は出来るだけ下り坂を避けるなどの工夫も必要です。

また、膝の横を走行している腸脛靭帯の痛みが膝の裏の痛みのように感じる場合があります。

これは、膝の裏の筋肉と腸脛靭帯の付着部位が近いために痛みの部分を間違える場合があります。

ただし、いずれの痛みも、痛み出す原因がこれだけとは限りません。他の障害や、二次的に発生している可能性もありますから安易に自己診断することは危険です。

痛む部分がはっきりと分からない場合は専門家の意見を聞いて対策を取ることが必要です。